彼女の心を知る度に
新たな悩みが 生まれてくる俺の願いを叶えるためには
俺の想いを そのまま 伝えるためには
受け入れて もらうには
考えても
まとまらなくて
それもまた 俺の悩み
Truth 〜 crouch 〜
いつだったか。
彼女が俺に、話してくれた。
確か…彼女が俺のことで、呼び出された時。
怒って。
頬を膨らませて。
不満があるなら、全部聞いてやるから。
そう言った俺に。
彼女は一つ、大きく息を吐いて。
「本質を見てない人間が多すぎ」
そう、言葉を落とした。
彼女の言う本質は、中身。
わかっているから、俺は失笑を、零すだけ。
そんなことは、わかり切っていたから。
わかってもらえないなら。
見てもらえないなら。
それでいい。
ただでさえ、雑誌の上。
俺の中身まで、知る必要なんか、ない。
なんて――あきらめてたから。
でも彼女は、違ってた。
「外見だけで判断して。失敗したこととか、ないんだろうね。ああいう人たちは、可愛いってだけで買って。飽きたり、面倒見るのが嫌になったら捨てちゃうっていう、最悪な飼い主になること、間違いなし!」
「……ああ」
言われて、なるほどな、なんて思う。
確かにそれは、合ってるかもしれない。
「見た目だけでいいって思って。相手の気持ちも考えないで、欲しいって思う。自分の気持ちが先なんだよ。相手の気持ちなんて、二の次なわけ」
「………」
「人間関係、うまく行かない人種。だって、ジコチュウだもん」
「…確かに」
「周りにいる人間が、ストレス抱える原因。自分もそうだってわかってないのに、同じような人間に接すると、文句ばっかり垂れるわけ。そういう瞬間に立ち会うと、うわーって、むかむかしてくるよね」
次から次へと、言葉が紡がれて。
でもそこで、彼女は言葉を切った。
ちらりと横を見れば。
彼女は短く、ため息を吐き出して。
「でも。僕も同じかもしれないけど」
と、ポツリと落とした。
それに、俺は笑ってしまって。
彼女は驚いてから、ぷくっと、また頬を膨らませる。
「何で笑うんですか?」
「きっと…違う。そんなことを言ってるやつは」
「………」
「それにおまえは。ちゃんと考えてるだろ?
周りのこと」
「……多分」
「たぶんじゃなくて、絶対」
「…そうかな?」
「ああ。だから……」
「だから?」
「そばにいるんだろ? 俺も」
「……」
「……たぶん」
加えれば、彼女はくすくすと笑って。
多分て何?
って、口にしてた。
それに、俺はふと考えて。
彼女から、視線を外した。
俺も、変わったんだと思う。
彼女と接して。
俺だって、見た目で判断してた部分は、結構あったから。
彼女のことを、きちんとは知らずに。
昔とは違うからと。
知ろうとはせずにいた。
接することを、拒んでいた。
彼女は彼女で、おもしろいやつなのに。
思い出して、暗い部屋の中で息を吐く。
彼女と接して。
スタッフと距離を置いていたことが、何だか嫌になって。
話しかけられることには、答えられるように、していった。
ほとんど、彼女に言われて、の方が多かったけれど。
それでも、雑誌のインタビューとかは、簡単にしか答えられなかったけれど。
それはどうせ、好き勝手書くから、いいと思った。
けれど。
俺の性格を捻じ曲げるようなことが嫌だとは、考えるように、なってた。
一緒に仕事をする人間には。
きちんと知っていてほしくなった。
あきらめていたそれに、前向きに立ち向かえるようになったのは。
彼女の、おかげ。
彼女が、いてくれたから。
彼女に教えられたことは、たくさんで。
だからというわけではないけれど。
俺は、彼女にそばにいてほしかった。
好きだという想いに、うそはないし。
それを届けたい。
伝えたいという思いも、もちろんある。
受け入れられたら、嬉しいけれど。
今のままでは、彼女はまた、首を横に振るかもしれない。
俺はまだ、彼女の言葉の意味を。
月宮ほど、理解しているわけではなくて。
したくても、まだわからないことはあって。
聞きたいけれど。
聞くのが、怖くて。
きちんと理解できるのか。
それを考えると、怖くなって。
俺はことんと、壁に、頭をつける。
見上げた天井は、暗くて。
そこに向かって、一つ。
静かに息を吐き出してた。
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