| 偽りのない光 世界には、光と闇が存在している。
一対で存在する、それらは。
決して……同じ重さでは存在できないのに。
一対であると、思われ続けている。
光あるところに影が出来、それが集まり、闇と呼ばれるようになる。
それにも、関わらず。
同じように、まったく仕事が違うその所為で、一対だと思われている者たちがいた。
大きさもまったく違うのに。
太陽と月。
その二つが、一対に置かれてしまっていた。
太陽は大きく燃える炎を身に纏っているために、光の支配下に置かれ。
月は、その、神々しいまでの柔らかな光のため、闇の支配下に置かれていた。
地球上。
昼は光。
それゆえ、太陽が空から地上を見下ろし。
地球上。
夜は闇。
ゆえに、月が空から、地上を優しく見守っていた。
彼らは一対。
光と闇が、一対であると思われている以上。
太陽と月も、また……一対でなければならない。
だが彼は。
月と呼ばれる彼は……母である、太陽を拒んでいた。
「あの女は、自分のことしか考えてはいない!
星たちに自分の作った光を与えずに、言い訳になるようにと、僕にばかり与えている!
星たちは僕の、妹や弟だというのに! 皆を悲しませ続けている!」
太陽からの呼び出しを受けた、その後。
彼は一人、静かに太陽の様子を見ていた。
だが、状況は変わらない。
太陽は常に、大きな身体を持つ子供――特に、彼ばかりに作った光を与え。
小さな身体しか持たないものには、一切。
目を向けようとはしなかった。
それをもう、彼は見ていられなくなり。
大きく、頭を振る。
「あの女がやらないのなら、僕がやってやる!」
声を張り上げ、彼は力を振り絞る。太陽から与えられた光を反射し、星たちに届けようと身体を大きくしていった。
太陽を忌々しく思いながらも、身体のすべてで光を受け、月は少しずつ、その光を星たちに分け与えていった。
結果、自分の身を、削ることになろうとも。
そして、自分が与えられた光をすべて、星たちに分け与えても…すべての星に届けることは無理だということを知るまで。
そしてそれが、当然のことなのだと、気づくまで。
彼は闇の支配下にいる。
だから、当然のことなのだ。
光を上手く、使うことができないのは。
彼は闇の支配下にある。
闇は、光を作り出すことはできない。
だから、当たり前なのだ。
すべての星たちに、光を届けることができないのは。
太陽が気づいて、光の量を押さえてしまえば。
月は、どうすることもできないのだから。
月はただ、受け止めるだけ。
与えられたものを、受け止めるだけ。
何かを傷つけることは、許されていない。
逆に、何かを作り出すことも、許されてはいない。
月はただ、受け止めるだけ。
彼はただ、見守るだけ。
闇に許されているのは。
その中に存在する、命あるものに、恐怖の心を、植え付けるということ。
ただ、それだけで。
だから彼も、それは同じ。
闇の中、怪しく自分の姿を誇示することで。
怖いと思う、その感情を…育てるだけ。
「僕は結局…何もできない」
呟き、彼は太陽へと目を向ける。
母は、あのように。
炎を纏っているそのために、光を作ることが許されているのに。
だから彼女は、光の支配下にいられているのに。
小さく頭を振って、彼は視線を逸らした。
いまさら。
そう、もうすでに手後れだから。
彼は彼女ではないから。
光にはなれないから。
それでも、彼は、自分に与えられた光を、せめて周りだけには、と分け与え続ける道を選んだ。
自分にしか出来ないこと。
それを知ったのだから、と。
精一杯、それをしていれば。
いつかは――太陽の心を動かせるかもしれない。
そう、考えて。
今の自分を受け入れて。
周りの状況も、受け止めて。
おわり
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