偽りの光

地球という青い星で、勝手に生まれて、勝手に繁栄を続けている人間たち。
その者たちが、口々に星が減ったと言い始めた時。
真っ暗な宇宙の闇の真ん中で、太陽は大きく、ため息を吐いていました。
いくら、頑張って光を作って。
子供たちの元へと届けても。
子供たちはその光を有効に使うことが出来ていなかったのです。
というより、人間たちが作った光は。
小さな身体の子供たちには脅威で。
そして…光は消えてしまっていました。
その事実に、もう一つ、息を吐いて。
彼女は仕方なく、小さな子供たちを呼び寄せました。

「いいかい、よく聞くんだよ、おまえたち」
何事かと集まった子供たちに、太陽は胸を痛めながらも話し始めます。
不安そうな、彼女の子供である星たちの顔に。
不安そうに小さく揺れる小さな瞳に。
やっぱり言わない方がいいんじゃないかと、少し、逡巡して。
それでも、子供達を守るためだと、意を決しました。
「少し、酷かもしれないけどね。それでも、わたしはおまえたちに、あえて言うよ」
ざわつき始めた場に、目を細めて。
それから、続く言葉を綴ります。
「人間たちが作った光は強すぎる。おまえたちでは敵うまい」
太陽は星たちにそう言いました。
子供である星たちは、戸惑いながらも頷いて。
それから、続きを待ちます。
「月のように大きいならいいが、おまえたちは小さいからねぇ。わたしは心配だよ。だからおまえたちには、わたしが作る光は届けないよ。人間たちがもう少し、おまえたちに気を使ってくれれば、わたしもこんなことをすることはないんだがねぇ……」
「……お母さん…」
「ごめんね、みんな。わたしを許してくれるかい?」
そう言えば、星たちは顔を見合わせて。
それから、大きく頷いてくれました。
それにほっとして。
太陽は小さく微笑みました。
「ありがとう。さぁ、持ち場へお帰り。人間たちが光を発することを止めてくれたら、すぐに光を届けてあげるからね」
「「「はーい」」」
声をそろえてくれた子供たちに、彼女はまた、微笑んで。
散らばっていくその背中を見守り続けました。

小さな星たちが帰っていった後。
太陽は月を呼びました。
地球の一番近くにいる月は。
その地球に届けられる、他の星たちからの光が、急に弱まっていたことに、気づいていました。
理由はわかっていても、それを直接、兄弟たちに聞くわけにもいかず、月は黙っていたのです。
きっと、母である太陽が。
兄弟たちに光を届けることを止めてしまったのだろうと……。
「何か用ですか? 母上」
そっけなくそう言い、月は太陽の話を聞きます。
太陽はどう言おうかと考え。
それでも、そのままを伝えることにしました。
「おまえはよく知っていると思うが、あの青い星――地球に住む人間たちの光は強い。そう思わないかい?」
「思いますが……それが何だと言うんです?」
「わからないのかい? 人間たちが作った光は強い。それゆえに、おまえの兄弟たちは苦しんでいると言うのに」
「………」
「だからわたしは決めたよ。小さな子供たちには、光は届けない。代わりに、おまえにたくさんの光を届けるってね」
「………」
「わたしが作る光の量は変えられないからね」
「……だからって…」
「わたしの話はそれだけだよ。さ、お帰り」
何か言いたそうな月を、その言葉で追い払って。
太陽は息を吐き出しました。
無駄なことは、出来ればしたくはないんだよ。
小さく小さく呟いたその一言を。
帰ろうとしていた月は、聞いてしまいましたが。
結局、何も言えずに。
わずかに母親の姿を睨むように見てから。
青い地球のそばへと、帰っていくのでした。

おわり

 

十一回目は太陽。
言わなくてもいいかと思いますが、次に続きます。
まぁ、これだけでも読めるようにって、玲も試行錯誤したでしょうね。
樹は、本編に出てきた本文をどこでどう使おうかと、それだけを考えておりました(苦笑)。

女性

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