あめ あかいかさ ちいさな手

おそとはあめ。
ざーざーっておとは、ここまでしないけど。
でも、ずーっとふってるの。
それをみてたら、「行っちゃうよ」ってこえがした。
ガサガサッてしてた、ビニールのおとがやんで。
いそいでおかあさんをみる。
そこからはなれて、カゴをかたすのをてつだって。
ふたりでわらう。
それから、あるきだしたおかあさんのあとをおいかけた。
おみせのなかはざわついてて。
わたしとおなじぐらいのこも、いっぱいいて。
そんなこたちはみんな、おかあさんと手をつないでた。
手をつないで、わらってた。
だからわたしも、おかあさんと手をつなぎたくなって。
おかあさんのおおきな手へと、手をのばす。
けど、おかあさんはその手をとってはくれなかった。
「おかあさん」
「ん? なぁに?」
「手……」
「手? 繋ぎたいの?」
いわれて、わたしはコクンとうなずく。
おそとはあめ。
ざーざーって、おとをたてて。
ずーっとふってる。
「私も、繋ぎたいよ?」
「じゃあ…!」
「でも、おかあさん。荷物持ってるの」
「………」
「両手塞がっちゃうの。傘、差さないと、濡れちゃうでしょう?」
おかあさんがいったから。
わたしはまた、おそとをみた。
おみせのそと。
あめがずーっと、ふってる。
ざーざーっておとをたてて。
ずーっと、ずーっと。
ふってる。
「お母さん、濡れちゃってもいい?」
「ダメー」
「じゃあ、我慢して?」
「………」
「それに、手は繋げないけど、赤い傘、自分でさせるわよ?」
いわれたことにびっくりして。
わたしはおかあさんをみる。
おきにいりの。
だいすきな。
まっかなかさ。
おかいものしてるときも、ずーっともってた。
あかいかさ。
それをみて、すこしかんがえて。
「行こうか。早くしないと、お父さんが帰ってきちゃうし」
「………」
「おなか減ったーって、騒がれちゃうよ?」
おかあさんのいいかたがおもしろくて、すこしだけわらった。
そうしたら、おかあさんもいっしょにわらってくれた。
おみせをでるまで、手をつないで。
でるちょっとまえで、おかあさんはわたしの手からかさをとって。
にっこりわらってくれたあと。
パンッておとをだしながら、ひらいてくれた。
「はい」
まっかな、おはなみたいなかさ。
それをだされて、まがってるところ、にぎって。
さして。
うれしくて、くるくるまわす。
おうちにつくまで、じぶんでさせる。
うれしくて、くるくるくるくるまわす。
まっかなかさのしたは。
いろんなものが、あかくみえた。
わたしもあかくて。
手もあかくて。
きているまっしろだったふくも、あかくて。
それもうれしくて。
でも、なんであかいのか、わかんなくて。
ちいさくくびをかしげてみる。
そんなわたしに、ふふっとわらいながら。
おかあさんも、じぶんのおおきなかさをひらいてた。
パンッておと。
はれてるときのおそらと、おなじいろの、おおきなかさ。
それがひらく。
わたしとおなじようにさして。
おかあさんもすこし、くるくるまわす。
おかあさんもうれしいの?
おかあさんも、おそらとおなじいろのそのかさ。
だいすきなの?
「さ、帰ろう」
「うん!」
わらってるおかあさんに、わらってこたえた。
ピンクいろのながぐつで、おかあさんのよこをあるく。
みずたまりのなかにはいって、パシャッておと。
でも、わたしはぜんぜんぬれないの。
だって、あかいかさが、あめから、まもってくれるから。
おそとはあめ。
ざーざーって、ずーっとふってる。
でもわたしは、ひとりでかさをさせるから。
あめになんか、まけないでいられる。
「あめあめふれふれ、かあさんがー」
ってうたいだしたら。
「蛇の目でお迎え、嬉いなー」
って、おかあさんもうたってくれた。
あめのひもたのしいね。
いいながら、かさのしたからみあげたら。
おかあさんはにっこりわらってた。
「おうちについたら、ごはんつくるの?」
「そうだね、作らないとねー。お手伝いしてくれる?」
「してあげるー」
くすくすってふたりでわらう。
やっぱり、あめのひもたのしい。
あしたもあめだったら、いいのにな。
おもいながら、おかあさんとうたってた。
おうちにつくまで。
ずっと、ずっと。
わらいながら。

おわり

 

ご要望があったので、書いてみました。第一弾。
本編の中で、玲が書いたとされる小説です。
一回目がこれ。
女の子が主人公です。
おかげでひらがないっぱい……。
読みにくいですか? やっぱり(でもこのまま)。

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