ぼんやりと
本当に……ぼんやりとだけど考えている ことがある
習慣
今の、『バレンタインにチョコを送る』っていう、それは。
製菓メーカーの陰謀だって、前にテレビでやっていたから。
わたしはそれを、知っているわけで。
本来、バレンタインっていう、その日は。
大切な人に、プレゼントをして、感謝の気持ちを表すっていう意味があるんだから。
だとしたら。
別に、チョコじゃなくても、いいわけで。
なんて、スーパーの製菓用のチョコレートの塊が置いてあるコーナーの前で。
わたしはぼんやりと、考えていて。
どれを作ろうかとか、必死に考えて。
決めて。
そして、家を出てきたのに。
なのに……いざ、それを目の前にしたら。
チョコレートのお菓子を作る気は、失せてしまった。
それでもまぁ、チョコレートは用意しましょうか。
考えて。
ビターチョコの塊を籠に入れて。
生クリームも、探して入れて。
そのまま、レジに並んで。
わたしは店の外へと、爪先を向けた。
向かったのは、手芸屋さんで。
今から急げば、マフラーは作れるなー。
とか。
そんなことを考えたからで。
今日暇だし。
バレンタインは、明日だし。
もっと頑張れば、セーターぐらい、編めるかもしれないけど。
無難に攻めた方が、よさそうだし。
心配かけるのも、嫌だしね。
考えながら、歩いて。
何色がいいかな?
マフラーを作ると決めてしまえば、次はそっちで悩むことになる。
彼は何色でも、似合ってしまうから。
それは贅沢な悩みでしか、ないのだけれど。
この時季だし、やっぱり白かな?
でもなー、逆に黒っぽいのも、ありだよなー。
考えて考えて。
わたしはうきうきしながら、歩を進めていく。
チョコは毎年作ってるから、つまらなくなったのかもしれない。
だから今年は、少しだけ、趣向を変えて。
「おそろいで、わたしのも作っちゃおうかなー」
呟いて、中へと入って。
意地悪しちゃうのも、ありかな?
なんて。
目に飛び込んできた、可愛らしい色に。
ひとりでくすくすと、笑ってた。
けど。
結局、どうすればいいのか、わかんなくて。
小さく、息を吐く。
一番似合うのは、白だと思うんだけど。
わたしのイメージにない色だと、思うんだけど。
けどそれだと。
汚した時に、目立ってしまう。
逆に黒だと。
彼の持っている上着からすると。
合わせるの、難しいかなーとか。
そんなことを考えてしまって。
「……間?」
考えて。
灰色をとりあえず、手に取ってみるけど。
何かが違う気がして、仕方がなかったりして。
全然違う色…となると。
睨まれそうな色しか、思い浮かばなかったりも、して。
そうして、考えて。
けど。
「……こういうのもあった、ねぇ……」
目に映ったのは、いろんな色が組み合わされた、糸。
それを手にして。
考えて。
面白いかもしれない、なんて考えてしまえば。
わたしの行動は早くて。
すっごく長くしようかな?
わたしも包まれるくらい。
またくすくす笑って。
両手で抱えて。
ここに入る前に考えていた、わたし用のものは。
気がついたら、なしになっていて。
まぁいっか。
笑みで息を零してから、歩き出す。
明日までの、わずかな数時間。
「大切な人のために、頑張りますか」
静かなそこで、小さく小さく。
わたしは声を、発してた。
END
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