誰よりもそばにいてほしいから。
許されたとしても、本当の意味で、届いていないなら。

まずはそれを、伝えることから。



言葉よりも




『やっぱりね』
電話の向こうからの、含み笑いでの応えに、彼は小さく、微笑んで。
それから、「当然…でしょ?」なんて、言葉を綴った。
去年と同じ人から出された問いは。
去年と寸分違わないもので。
それが何を意味しているのかを知っている彼は、決めていた答えを、口にした。
だから、当然の成り行き。
『今ならまだ、引き返せるわよー?』
「いい。『一』で」
『「四」にはしない?』
「おばさん」
『はいはい。でも、つまらないっていうのは、本当のことよ?』
「………」
『でも…それでいいのよね』
「?」
『だって、優菜にとっては珪の家が、珪にとってのこの家になるんだものね』
意味がわからなくて。
それでも、届けられたおやすみの挨拶に、同じ言葉を返して。
彼は携帯の電源を切りながら、その意味を考え続ける。
彼にとっての、彼女の家は。
とてもあたたかい場所で、居心地がよくて。
自分の家よりも、ずっと…なんて、思ってしまうような場所。
けれど、彼女と二人きりになるためには、出なければならない場所…。
「………」
首を傾げて、彼はなおも考えて。
けれど。
彼女にとって、彼の家がそうであるなら。
とりあえず、形から入るか……。
考えて、彼はソファから立ち上がる。
彼にとって、そこは。
自分の家にいる時よりも、家族を感じられる場所。
自分の家よりも、家らしい場所。
彼女の弟が、二番目の家と、言い表した場所。
だから、そう思ってもらえるように、彼女のものを増やしていけばいい。
彼女の家に、彼のものが、いつの間にか、増えていっているように。
考えて。
それでも、自分の趣味で決めてしまってもいいのかと、不安になったりもして。
彼は結局、また、同じ場所に腰を落ち着けた。
だったら、べつに。
彼女に、今考えたことを伝えて。
彼女自身に、増やしていってもらえればいいだけのこと。
尻込みするようなら、抱えている想いを、告げればいいだけのこと。
ただ……それだけのこと。
考えて、結論付けて。
今度は、必ず来る、その日に。
彼は静かに、思いを巡らせはじめた。

END

 

19歳のお誕生日、おめでとう!
な、内容にしたかったんですが。
…おかしい……。
というか、既刊の『
口づけを 歌うように』に合わせようとしたら、こんなものに。

とにかく!
珪くん、誕生日おめでとー!!

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