小さい小さいとは 思ってたけど

ここまでとは…思わなかった




天使の舞い降りた日





泣き続けていた声が静まって。
目の前に見せられたのは、二人の顔。
どちらも赤い顔をしていて。
あくびをするかのように、大きく口を開けて。
手で顔を拭うその姿を見ていると。
彼女のくすくす笑う声が、耳に届いた。
「抱いてみますか?」
看護婦に聞かれて。
少し、逡巡したけれど。
恐る恐る、手を伸ばす。
先に生まれた男の子の方を、腕に抱いて。
その軽さに、驚いてた。
「落とさないでよ?」
言われて、素直に頷く。
今、腕の中にいるものが。
どれだけ大切なものか、わかっているから。
大きなあくびを漏らして。
それに微笑すれば。
彼は俺へと、手を伸ばしてくれた。
あとに産まれた女の子の方は、彼女のそばへと、看護婦が連れていって。
彼女はその姿を見て、微笑んでいて。
「おまえにそっくりだな」
「? その子?」
「ああ」
「よかった」
「…? 何が?」
「こっちの子は君に似てるから」
ふふふ、と声を上げて笑って。
「名前、早く決めないとね?」
それから、そう言葉を零した。
そうだな、と同意して。
俺は看護婦へと、その子を預ける。
そのあと、頭を一度撫でて。
小さくて、軽くて。
けれどその存在は。
俺達にとって、とてつもなく大事で。
大切で。
守っていくべき、存在だから。
「じゃ、病室の方に戻りましょうか」
婦長らしい、年配の看護婦が言って。
そこにいた関係者が、動き出す。
赤ん坊は別室に連れていかれて。
それを見送って、彼女と一緒に、病室へと入って。
「よく、がんばったな」
そう声をかければ。
彼女は嬉しそうに、頷いてくれた。
「でもこれからが大変だよ?」
「だな」
「急に二人も増えちゃったんだもん。お仕事頑張らないと?」
「…その辺りは……平気じゃないか?」
「まぁ、ね」
「逆に…」
「?」
「仕事、あんまり入れないように、じゃないか?」
「子育て?」
「ああ」
「………」
「どうした?」
「原稿依頼、いっぱい受けちゃった……」
「………」
無言でため息を吐き出せば。
「だって! 双子だよ? ほとんど奇跡に近いじゃん! 書いておかないでどうするのさ!」
そう、彼女から抗議の声が上がった。
結局、彼女は変わらないままで。
家族が増えても、彼女は彼女のままで。
それがおかしくて。
俺はふっと、笑みを浮かべていた。

END

 

二次創作書きさんにたった10のお題』より、お借りしました。
十個目は、『この手に抱く』。
そのお題でピンと来たのは、やっぱり、天使二人のこと。
でも、経験ないので、よくわからない…。
だから想像(苦笑)。

web拍手に置いてました。

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