歩くのは好きだけど
目的がないのは 好きじゃないそんなの
君も知ってるでしょう?
最終目的地
出版社を出て。
さてどうしよう、なんて考える。
家に帰ったって、ひとりだし。
彼は今日は、帰ってこないし。
だったら、買い物でもしようかな?
――なんて、考えるけど。
結局、どこに行くとか決めないまま、歩き出す。
そうして、駅に着いて。
そこでまた、どうしよう、なんて考える。
壁に寄りかかって、携帯を開いて。
まだ、昼の時間を示す、それに、息を吐き出して。
「………」
暇だけど。
でも、やらなくちゃいけないことは、あるんだけど。
それでも、淋しいから、帰るのは嫌で。
だからと言って、どこに行くのかも、わからない。
本当に、彼がいないとだめなんだねー、なんて、他人事のように、思うけど。
その通りだし…と、わずかに覗く空を、仰ぎ見た。
淋しい。
だから会いたい。
でも、その会いたい人は、仕事中。
かなり足を伸ばさないと、行けない場所にいる。
だから、急に行ったら、心配させるし。
それは…嫌だし。
視線を下へと向ける。
と、電車がホームに入ってきて。
どうしようかと考え続けていれば、その電車は、扉を閉めて。
ホームから、滑り出ていった。
「………」
わずかに刺さる視線に、視線を下げて、躱して。
そうしながら、何をしたいかと考えたら。
わたしはメールを打ち出していた。
彷徨い歩くのは……嫌い。
だけど、最終目的地は、わかってる。
のに、そこまで今は、行けないから。
だから……。
彼に会いたいと思うわたしの気持ちは、押え込まなくてはならないものなんだと、わかってる。
でもね?
君には、その気持ちを知っててほしいんだよ。
『君には
わからないと思う
ううん
わかるとは 思うけど
ただやっぱり
同じものは 理解出来ないと思う』
打ち終えて。
わたしらしいかもしれないと、送り出した。
こんなメールを送るのは、初めてじゃない。
だから、彼はわかるはず。
今回は――何が返ってくるだろう?
声かな?
同じように、言葉……かな?
考えて。
やってきた電車に、今度は、乗り込んだ。
彼は今、撮影中かな?
それとも、休憩に入ったかな?
考えながら、扉のそばに立つ。
携帯を握り締めたままなのは、やっぱり、返事にすぐに、気づきたいから。
窓の外の景色を眺めながら。
時々、携帯に視線を落として。
彷徨うことなんか、ない。
最終目的地は、自分の中で、わかってるんだから。
そこに、少しでも早く、辿り着けるようにすればいい。
一緒に住んでても、不安になる。
それは前に、彼に伝えたんだし。
だから。
彼の気持ちを確認すれば。
わたしにとっての目的地は、近くなるんだ。
END
|