辺りがオレンジ色に包まれると。
なぜか、彼女はきょろきょろして。
そうしてから見つけたものに。
とても嬉しそうに…笑みを零してた。
君を包むもの
大きく一つ、あくびを零す。
と、それに届けられたのは、いつものように笑みで。
くすくすと笑う彼女に、俺も苦笑を零した。
できれば、彼女には。
だらしない部分は見せたくないと思っているのだけれど。
彼女のそばにいると、気が緩んでしまうのは、どうしようもなくて。
「今日、授業中、あんまり寝てなかったもんね?」
それでも、そうフォローを入れてくれた彼女に、こくんと首を縦に振る。
浮かべられた微笑に、安心して。
またゆっくりと、前方へと視線を移した。
「もう夕方なんだね?」
オレンジ色に染まりはじめた景色に気づいて、彼女がそう紡いで。
それから、何かを探すように、視線をさまよわせはじめる。
何を探しているのかは知っているから。
俺は小さく笑いながら、後ろを指差した。
「あっち」
彼女に知らせるために、短く、発しながら。
それに、視線の先を後方へと変えて。
彼女は満面の笑みを浮かべる。
「今日、天気がいいから。すごく綺麗だよ?」
「…ああ」
言われて、俺も後方へと、視線を滑らせる。
だけではなくて、足を止めれば。
彼女も足を止めて。
二人で、振り返った。
繋いでいた手を離して。
また、逆の手を繋いで。
「綺麗だな」
「うん。よく見える場所で、よかったね?」
「だな」
顔を見合わせて。
笑って。
それから。
歩き出すのは少し、嫌だったけれど。
これから冷え込むのだろうから。
そう考えたら、彼女に帰ることを、告げられた。
彼女に体調を崩してほしくは、なかったから。
「明日も、天気いいといいね?」
「そうだな」
「週末は…どうかな?」
「晴れだといいんだけどな」
「うん」
オレンジに染まる彼女を見て。
それが、なぜか嫌で。
ぎゅっと手に力を込める。
握り返されたのが嬉しくて。
彼女に笑みを送った。
END
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