いいことだけ。

彼女がそう言ったから。
俺も、そうしようと思った。



左右




「ユナ。アンタ今月、ダメダメ」
「え?」
隣りで上がった声に、視線を向ければ。
雑誌を広げていた、藤井と目が合って。
「葉月って、星座、何?」
なんて、問いが飛んでくる。
それに、少しだけ考えれば。
「珪くんは、てんびん座だよ」
そう、藤井の目の前に座る彼女が、答えを綴った。
ただそれは、少し悲しそうな色を含んでいて。
「…葉月は……、まぁまぁね」
「まぁまぁって…何が?」
「占い。見る?」
手渡されて。
俺は一応、そこへと視線を滑らせる。
恋愛運。
勉強運。
健康運に。
全体運。
「これ…当たるのか?」
「さぁ? 特に気にしたことって、ないけど…」
答えを聞きながら、彼女の星座の欄を眺めて。
そして、眉根を寄せる。
「ユナは全部、一個だね? 星」
「…今月、自粛した方がいいのかなぁ?」
「気にするんなら、そうなんじゃん?」
口元に手を当てて。
彼女は小さく、唸って。
「アタシは結構、よかったよ? 恋愛運が最高だったし」
「………」
いいなーと紡いだ彼女に、微苦笑を浮かべて。
それから俺は、その雑誌を彼女の机の上へと、ていねいに置いた。
そうすれば、彼女の視線は、そこに注がれて。
「いいこと、何にも書いてない…」
小さく、そう呟く。
下げられた眉根に、手を伸ばして。
頭を小さく、撫でれば。
彼女は驚いたあとで、笑って。
それに。
「アタシ、教室戻るわ」
と、藤井が腰を上げた。
それを、二人で見送って。
「…そんなに、悪くないかな?」
ポツリと落とされた言葉に、俺は彼女を見るけれど。
彼女は横に、首を振って。
「あのね? いいことだけ、信じようかなーって」
そう、満面の笑みで、綴ってくれて。
俺もそれに、同じように。
笑みを浮かべて、応えてみた。

END

 

 

ちょっと、考えちゃいました。
うーん、女の子は簡単だけど。
男の子って、あんまり気にしなさそうだよねぇ?
…なんて。

誰でも手軽に出来る「10ノお題」』さまからお借りいたしました。
六つ目は、占い。
web拍手に置いてました。

戻る