今日というこの日。
あなたと過ごしているそのことは。
きっときっと、わたしの意志。
絶対絶対。
わたしの…意志。



その二文字の




終わりの日。
もうすぐやってくるのは、はじまりの日。
触れているその暖かさに、わたしは嬉しくて、笑みを零した。
そのことに、顔を覗き込まれて。
少しだけ驚いたけど。
「何か…嬉しいの」
そう、言葉を届けた。
「嬉しい?」
「そう。珪くんと、こうやって過ごせてることが」
言えば、彼は何かを考えて。
「そうだな。俺も…嬉しい」
紡いで、微笑ってくれた。
今日だから、特別嬉しい。
いつも嬉しいけど。
いつも……そう思ってるけど。
今日という日だから、特別、そう思ってる。
あたりまえ、なんて――思いたくない。
「あのね? 言っても…いい?」
繋がっている手に力を込めて。
わたしは言葉を綴った。
いつも、実は言おうと思ってたこと。
彼が口にする度に。
でも、言わずに来たのは。
彼がそれを、信じ切っていたから。
わたしだって、信じていないわけじゃないけれど。
「珪くんは、運命って、信じる?」
「信じる」
即答。
うん、わたしも信じてる。
思いながら、次の言葉を探し出して。
口にしていく。
「じゃあ、今、わたしとこうしてるのも、運命だと思う?」
「…?」
「一年の終わりの、大晦日に。珪くんの家で、二人で過ごしている、この時」
「……違うのか?」
「わたしは…違うと思う」
少し、不安そうな表情を浮かべた彼に。
慌てて、そういう意味ではないのだと、首を振った。
わたしだって、運命は信じてる。
信じてるけど、今この時は。
「わたしは…自分の意志だと思う」
指を絡めて、きゅっと握って。
やっぱり大きいと、少しだけ考えて。
「あの日、教会で珪くんと初めて会って、離れちゃったでしょ?」
「ああ」
「それから、高校の入学式の日に再会して。それは、運命だと思うの」
「………」
「でもね? 教会で初めて会って、一緒に遊んだでしょ? それって、やっぱり、一緒に遊びたかったからだと思うから」
「……ああ」
「約束もしたでしょう? それもね、また会いたかったからだと思うの。わたしが待ってたのだって、そうしたかったからだと思うし」
「…ああ」
「再会して、珪くんのことを好きになって。仲良くなりたいって思ったのだって、わたしの意志でしょう? 運命なんかじゃ…ないと思うの」
神様って、いると思うけど。
その神様に、全部を決められているなんて、思わない。
「神様がくれたチャンスとか、選択権とか。そういうのを、ただただ逃さないで使っているだけなんだって思うの。だって、珪くん以外にも、素敵な男の人は今までにもいっぱい会ってきたもん。でもわたしは、珪くんが一番だって思ったの。それは……やっぱり、わたし自身の意志でしょう?」
一気に言えば、彼は頷いてくれて。
「そうだな。俺も…その通りだと思う」
わたしの大好きな、優しい笑みで、言ってくれた。
会ったのは、運命かもしれないけど。
運命だとしても。
そこから先を選んだのは、わたしの意志。
「ごめんね? どうしても言っておきたくて」
「べつにいい。言ってくれて…ほっとしてるから。俺」
「本当?」
「ああ。ただ、運命だからって言うんじゃ、やっぱりいつかは、不安になってたと思う」
「そう? そう…かな?」
「ああ、たぶん」
「でも…こんな日に、とか、思わなかった?」
「こんな日だからこそ、じゃないか? もうすぐ、はじまるんだしな」
「…うん」
時計を見上げた瞳に、笑みを浮かべた。
追いかけて、わたしも時計を振り返る。
もうすぐ、短針と長針が重なって。
わたしたちに、新しい年が来たことを、教えてくれる…はずだから。
「来年になったら、初詣行こうね?」
「眠くないか?」
「大丈夫だよ? 珪くんは?」
「俺も…平気」
「じゃあ、行こうね?」
手に力を込められて。
嬉しくて、握り返した。

わかっているのは、自分の想い。
相手の想いは、届けてもらわなければ、わたしにはわからない。
だから、言葉って大切で。
大切だからこそ、わたしも、伝えなくちゃって、必死になる。
けど、迎えたその時に、何をどう言おうかって、ものすごく悩んで。
「明けたな」
カチッと鳴った、その音と同時に放たれた言葉に、わたしも時計を瞳に映した。
重なった二つの針。
それに、わずかにほっとして。
彼へと、視線を向ける。
ほんの少し、傾げられた首に。
同じように傾げて見せて。
「あけまして、おめでとう」
それから笑って、そう綴った。
同じように返ってきた言葉に、やっぱり嬉しくて。
「今年も、よろしくお願いします」
言ったら。
「これからずーっと、だろ?」
そんな風に返されて。
本当に嬉しくて。
ずっと、一緒にいてくれることを望んでくれるんだという、そのことが。
本当に、本当に……嬉しくて。
「これからも、よろしくお願いします」
言い直せば。
彼は笑って。
「俺も、よろしくお願いします」
頭を下げられて、くすくすと笑った。
もちろん、二人で。
それから、暖かい格好をして。
「人、いっぱいいるかなぁ?」
「どうだろうな。行ったことないから、こんな時間に、俺」
「そっか。わたしもないの。尽が去年、行ったらしくて。いっぱいだったーって、零してたけどね」
眉根を顰めた彼に、くすくす笑う。
そうしながら、足を止めている彼のそばへと寄った。
「朝になってからにする?」
「べつに、いい」
「だって珪くん、人込み苦手でしょ?」
「どっちにしたって、同じじゃないのか?」
「……そうだね」
去年までのことを思い出して。
本当に少しだけ、苦い顔を浮かべて言えば。
彼はくすっと、笑ってくれる。
「だったら、今の方が少ないかもしれない」
「そうだね」
「行こう」
手を取られて、歩き出して。
何を願おうかと、それだけを考え出していた。

END

 


どっかで書いた気が、しなくもないんですけど…。
でも思い出せないから、そのままです。
あったら教えてやってください(泣。でもって頼)。

というわけで、年賀SS。
フリー配布をしておりました(現在は終了しております)。

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