肌触りがいいのは
認めるよ?

気持ちいいし

けどさ
寝るとなると 話は別

滑っちゃって
わたしは嫌です




嫌なものは嫌!





突然上がった声に、わたしは振り向いて。
それから、眉根を寄せる。
彼も同様に、眉根を寄せてて。
まぁ、理由は…わたしとは絶対に違うものだろうけど。
「確かに気持ちいいわよ? ミズキはいつも、それですもの」
「そうなんだー。何かいいねー」
「………」
「? 何でアンタ、嫌そうな顔してんの?」
黙り込んでいたわたしに気づいたのは、なっちんで。
彼は小さく、「うるさい」って呻いたあと、また机に突っ伏してた。
それを視界の端で捉えてから。
わたしは息を吐き出す。
と。
「田端さん、お世辞にも寝相がいいとは言えないものね」
なんて、隣りから声が上がった。
それに、うっなんて声を上げてから。
わたしは小さく、項垂れた。
「…その通りです」
「そう言えば、そうだったわね。修学旅行の時も、ベッドから落ちてたものね、田端さん」
「あの時はご心配をおかけしました」
「で? それが?」
「シルクって、慣れないと滑りますから」
わたしの前に座っていた守村くんが、そう言葉を紡いでくれて。
なっちんはそれで、「あぁ」なんて、納得したような言葉を紡ぐ。
「つまり、合わないってことか」
「…そういうこと」
「ミズキの家に泊まれないわね」
「逆に瑞希さんは、ウチには泊まれないね」
「当然よ」
言って、言われて。
わたしは肩を落とした状態で、身体の向きを戻した。
机の上には、英語の教科書とノート。
うー、なんて唸りながら、シャーペンを握り直す。
「葉月んチは?」
「………」
「反応ないね」
「寝てんでしょー? 玲は? 知ってる?」
彼からの答えがないから、わたしにと矛先が向けられる。
確かにわたしは、彼の家には出入りしてます。
だからその質問にも、答えてあげられます。
でもね。
「僕は今、英語のテスト勉強中ー!」
「そんなのイイじゃん。もともと頭イイんだし」
諦めずに、なっちんはそうやって聞いてくる。
「っていうかさ、テスト勉強をするために集まったんじゃなかったの?」
「だってさー。補習コンビ、逃げたし」
「ごめんね? わたしが強く、言えなかったから…」
「タマちゃんは悪くない」
「そ。悪いのは姫条と鈴鹿の二人」
「三原くんは? どうしたんです?」
「創作活動のため、欠席」
「個展が近いのよ。そうじゃなくても、色サマは忙しいんだから」
話を聞きながら、シャーペンを走らせる。
守村くんと有沢さんには、本当に悪いなーって思う。
「じゃなくて。葉月んチの話!」
「…諦めないね」
「あきらめるわけないじゃん。で? 知ってんでしょ?」
彼女が持っていたシャーペンはマイクに摩り替わっているのか。
なっちんはそれを、わたしに向けてくる。
彼を真似して、無言で切り抜けようかとも思ったけど。
「違うよ」
短く、そう答えを返してあげた。
「マジ?」
「葉月くん、結構庶民的だもん」
「そうなんだ? ちょっと安心した、わたし」
「つまんないなー。アタシは」
いつの間に、机の上に座っていたのか。
なっちんは足を組んで、腕まで組んで、彼に視線を向けてた。
それには、有沢さんから叱責が飛んでたけど。
なっちんには、どこ吹く風って感じだった。
「どうせなら、行くとこまで行っててほしかったなー」
「みんなが押し付けてる、理想の?」
「…まぁ、そうかな?」
それはちょっと、可哀想な気さえする。
彼は好きで、今のようになったわけじゃないのにさ。
だから、そういう部分では、普通の男の子、させてあげたい。
「パジャマは?」
「違うってば」
「うーん…」
「でも、似合いそうではあるね」
「それは僕も、思うけどさぁ」
「田端さん、スペル、間違ってますよ?」
「…どこですか? 守村さま」
視線を向けて、そう問う。
守村くんは苦笑しながら、指を差してくれて。
一つ一つ、アルファベットを口にしてくれた。
それを聞きつつ、直していく。
「…玲ってさ、マジメだよね?」
「違うの、今回は本当にヤバイの!」
「何が?」
「そう言えば、初めてね。田端さんがこういうのをやろうって言ったの」
「ミズキは、田端さんがどうしてもって言うから、参加してあげてるのよ?」
「でもこれで成績上がったら、嬉しいね?」
「じゃなくて! 玲の話よ、玲の!」
なっちんの大きな声に、彼は身じろぎして。
それでもなおも、夢の中に居続けてる。
――しぶとく。
「急にテスト勉強…だなんて。確かにおかしいな、とは思いましたけど」
「でしょー? で? 何でよ?」
会話に加わった守村くんの代わりに、有沢さんが教科書に書かれてる英文を、指でなぞってくれて。
わたしはそれを、必死になって、書き写してた。
のに、横から、顔を覗き込まれて。
集中が途切れそうになる。
「何でって……、賭けしちゃったから」
「カケー?」
「どんな?」
「今回、成績落ちた方が、何でも言うこと聞くっていう」
「………」
「有沢さん! これ、be動詞、何ー?」
聞けば、有沢さんは無言で指を差してくれる。
教科書の問題、一回やってるはずなのに、頭に入ってない。わたし。
しかも、全然。
「誰と?」
「葉月くん」
「………」
「うきゃ! 間違えた」
「焦らなくても平気よ。時間なんて、いくらでもあるんだから」
「でーもー」
泣きそうになりながら、問題に挑んで。
守村くんに微苦笑されながら、間違いを指摘されたり。
有沢さんに、無言で指を差されたり。
「どんな無茶を言われるか、わかったもんじゃないでしょ!?」
「いーじゃん。アンタたち、付き合ってるのかっていうぐらい、仲いいんだし」
「違うって言ってるでしょうが!」
「いいから、奈津実も勉強しなさい。補習、受けたいの?」
「何とかなるって!」
なっちんのその答えに紡がれていく、有沢さんの呆れたような声を聞きながら、わたしは必死に努力してみたりして。
だって、だってね?
とにかく……とにかくですよ?
「今から寝溜めしておこう、なんて考えてるやつに、負けたくないのー!」
そう、声を上げてみたら。
周りの視線が一斉に、彼へと向いてた。

END

 

何を書きたかったんだろう…?
とにかく、裏にしないために、高校生でーとかって思ったら、こんな話になったんですが。

二次創作書きさんにたった10のお題』より、お借りしました。
七つ目は、『シルクのシーツ』。
卒業後で書いてたら、きっと大変……でしょう?

web拍手に置いてました。

戻る