無意識って、時に残酷だと思う。
くり返しだからって。
気を抜いてちゃ、ダメだよね?



repeat




「どうした?」
「?」
声をかけられて、彼女は顔を上げる。
意味が、わからなかったから。
どうかしたのかと問われるようなことを、自分がしてしまった。
その意識が、彼女にはなかったから。
「優菜?」
「…? 何かあったの?」
聞けば、彼は軽く、ため息を吐く。
不安になって、眉尻を下げれば。
「つり…。間違えてる」
「え!?」
彼の手の中を覗き込んで。
もらったものを、彼女はもう一度、見て。
慌てて、キャッシュボックスを開けた。
「ご、ごめんね?」
「慌てなくていい」
「ううん。珪くん、時間、あるんだし」
足りない分を、そばに置いてあった計算機の力を借りて、計算して。
出して。
きちんと、自分の手の上に乗せてから、彼の手元へ。
その時にもう一度、ごめんね? と発すれば。
「気づけたんだから、べつにいい」
と、微笑と共に、届けられて。
彼女はほっと、息を吐く。
「…疲れてるのか?」
「……かなぁ? そんなことはないと思うんだけど…」
「………」
「ほとんど、無意識でやってるところ、あるんだよね。同じことのくり返しだし」
「……ああ…」
「でも、ダメだよね? お金のことだし」
もう一度だけ、ごめんねと発して。
彼女はボックスを閉じた。
疲れているかと聞かれれば。
そうなのかも、しれないけれど。
それを彼に、悟られたくはないし。
しっかりと。
せめて、ほんの数時間だけのことなのだから。
何度も確認するぐらいの気持ちでやった方がいい。
考えて、息を吐けば。
ポンッと、頭に手が乗った。
俯かせていた顔を上げれば。
その手はするりと、頬に落ちて。
「珪くん?」
「ちょっと悪いな。顔色」
目を見開けば、微苦笑。
それに、平気だと告げれば。
無理するなと、いつものように、心配の声が降って。
「大丈夫だよ。あと少しなんだし」
「それでも、あと二時間ぐらいあるだろ?」
「珪くんよりは、楽だよ。大変なんでしょう?」
「平気。俺は」
くすくすと笑いながら、そんなことを話して。
そんなことといっても、ほとんど、いつもと同じ会話。
わかっているけれど。
だからこそ、大切なもので。
「送る」
「?」
「一緒に帰ろう」
否定の言葉を綴ろうにも。
選択肢はなくて。
その証拠に、彼は背を向けて、店を出ていってしまって。
同じことのくり返し。
だと――しても。
彼のことは、こんなにも、心を傾けていられるのだから。
ほんの少しのことなんだから、バイト中も、同じようにしなくちゃ。
そう、心に決めて。
彼と入れ違いでやってきた客に、彼女は歓迎の声を上げた。

END

 

短い…。
自分の経験から、ネタを出してみる。
でも発展できずに、こんなもの。
間違えた相手が珪くんじゃなかったら、もっと長くできたかなぁ…と。
そんなことを、思っても、あとの祭りでしか、ないんですが(泣)。

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