どこがって聞かれると、困る。
いつって聞かれても、やっぱり困る。
彼のことは、いつの間にか、気になっていて。
いつの間にか、見てたから。



interval




「葉月?」
聞いたことに対して、短く聞き返されて。
彼女は戸惑いながら、どもりながらも、うんと頷いた。
一ヶ月経ったけど、気になる男子、できた?
なんて聞かれて。
躊躇いがちに、頷いて。
誰?
なんて聞かれたから、苦笑していたのだけれど。
今週の日曜日に、急に入った、課外授業の話を持ち出されて。
彼女は、その名を口にした。
「葉月くん、行くのかなぁ?」
――と。
「そんなの知らないわよ。仕事なんじゃない?」
投げやりに言われて、眉尻を下げる。
そう言えば、この友達は。
彼に対して、いい印象を持っていなかったのだと、今になって思い出した。
それでも彼女は、後ろへと視線を向ける。
机に突っ伏して寝ていたはずの彼は。
あくびを漏らしながらも、窓の外へと視線を向けていて。
彼女には、一切気づいて、いないらしくて。
「優菜?」
呼ばれて、彼女は友達へと視線を戻した。
顔を顰めている友達が、そこにはいて。
彼女は小さく、ごめんと零す。
「葉月?」
さっきとは違う声音で、問われて。
彼女は首を傾げた。
「何が?」
「アンタの気になる男子って」
「え?」
「そうなんでしょ?」
「ち、ちがっ!」
自分でも気づかないうちに、大きな声になってしまって。
彼女は慌てて、口を両手で塞ぐ。
ちらりと後方に投げた視界には。
しっかりと、彼がこちらに視線を向けているのが入った。
「言っとくけど、アイツはやめときな」
「………」
「入学式の時に言ったでしょ?
ヤなヤツなんだから」
「………」
そう言われたとしても、自分の考えは、まったく違っていて。
本当にそうなのかな?
と、そう思ってしまっていて。
最初に友達になってくれた、目の前の存在は、大切で。
その友達の言葉を覆すのは、どうかと思ってしまうけれど。
それでも、その言葉の通りだとは、どうしても思えなくて。
「…優しい人だと、思うけどな……」
小さく呟けば、目の前の友達は、大きく目を見開いて。
それからずいっと、身を乗り出してくる。
「優菜?」
「な、なぁに?」
「やめときな」
「…でも……」
もう、無理だと思う。
言いたいけれど、言えずに、口を閉ざして。
彼女は視線を、机の上へと下げた。
やめておいた方がいいと言われたけれど。
それを忘れたわけではなかったけれど。
心を止められる術を、知らなかったから。
知っていて、それをしたとしても。
きっと心は、彼に向いていただろうから。
いつなんて、わからない。
どこを、なんて、もっとわからない。
気がついたら気になっていて。
気がついたら、見ていた。
好きだと思ったのは、突然でもないけれど。
いつだかわからないぐらいに、徐々に徐々に、降り積もっていっていたらしくて。
気がついたら、好きになっていた。
前触れもなく。
そう考えたら、突然――なのかもしれないけれど。
「…ごめん…ね?」
ぎゅっと手を組んで、そう届ければ。
目の前からは、大きなため息が零された。
「わかったわよ」
そんな言葉と共に。
「なっちん?」
「すごくイヤだけど。ものすごくイヤだけど。大事な友達のためだから、協力してあげる」
「………」
「アタシが味方になってあげるんだから。アンタはしっかり、葉月のこと、見てなさいよ?」
言われて、目を見開いて。
ね?
と、畳みかけられたあとは。
彼女は嬉しそうに、笑うだけで。
それでも、ありがとうの言葉は、しっかりと送り出す。
二人で笑いあって。
他愛のないことも、いろいろ話して。
わたしも、何かできないかな?
彼女はそう思っていたのだけれど。
届けることを、すっかりと忘れてしまっていて。
彼女は授業がはじまった教室で。
人知れず、苦笑を零していた。

END

 

なーんか、どこかで書いたような気がして、仕方がないんですが。
どこだっけ?(既刊…?)

別の話を書こうと思ったんですが。
それを押しのけて出てきたのが、これでした(苦笑)。

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