今日はクリスマス。
小さな奇跡が起こる…特別な日。
Believe
回ってきた彼女のプレゼントをもう一度改めて見ながら、彼は笑んだ。
交換会も終盤。
目の前の彼女の手には、彼が出したプレゼントが収まっていて。
それも、彼が笑みを浮かべるのには充分な理由だった。
けれど、彼女はそれには気づかずに…べつの方向へと瞳を向けていて。
何かを思い出したように…ふっと微笑みを浮かべた。
「どうした?」
問えば、彼女は振り向いて。
視線をさまよわせたあと。
少し照れくさそうに笑う。
「珪くんは…何歳までサンタクロースを信じてた?」
期待を込めたようなまなざしに、わずかに逡巡して。
「おまえは?」
そう、彼は切り返してみる。
「わたし? わたしはね…実は今でも信じてるの」
控えめに笑い、彼女はそう言う。
「あ、いないっていうのは、わかってるんだけどね」
眉を顰めた彼に、彼女は慌てて言い加えて。
「でもね、絶対いると思うんだ」
「…?」
「だってさ、クリスマスにこんなに幸せになれるんだもの。こういうのって…サンタさんのプレゼントだって思えない?」
ダメかな?
付け加えられた言葉に、彼は「そういう意味か」と呟く。
視界の中では、一生懸命にプレゼントを配って歩いているサンタクロースが走り回っている。
「そういうことなら…信じてもいいかもな」
「でしょう?」
満面の笑みを湛える彼女に、彼もつられるように笑んで。
その横を、忙しくサンタクロースが駆け抜ける。
その背中を彼女が視線で追いかけた。
「大変だね、あのサンタさんも」
「そうだな。でも…」
邪魔だな。
呟きに、彼女は首を傾げるだけで何も言わず。
彼は、赤いその姿を睨むように見つめていたけれど。
すぐに視線を戻して、綺麗に笑む。
「クリスマスって、やっぱり…嬉しいよね」
頷きを返して。
手の中の小さなプレゼントに力を込めた。
END
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